知財部(知的財産部)へ就職・転職に必要な能力・スキルとは?英語や法律知識?

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知財部(知的財産部)へ就職・転職に必要な能力・スキルとは?英語や法律知識?

 こんにちは、企業内弁理士のタクパパです。

 先日、ある就職セミナーで大学生や大学院生とお話する機会がありました。

「知財のことは知らないけど知財業界への就職に興味があります」

 という人が結構、多かったという印象です。

 よく考えると僕も学生時代に就職活動をした際には同じような状況だったなと思いだしました 😆 

 知財業界は大変、マニアックで知名度が低いところなので、こんな情報が飛び交うご時世になっても意外に情報が少ないのかもしれませんね。

 それで今日はどちらかというと知財業界のことをあまり詳しくない方向けに知財部(知的財産部)へ就職・転職に必要な能力・スキルについて説明します。

 ただ就職だけでなく、知財部への転職においても非常に役に立つ内容だと思いますね。

 なお、ここで説明するのは知財部の中でも基本的に特許をメインとする技術系の仕事に就職(または転職)しようとされている方が対象となります。

特許法の基礎知識(法律知識)

 そんなにマニアックに知っておく必要はないですし、「弁理士試験の勉強をしています」とかまでは求められないですが、最低限の特許法の基礎知識(法律知識)だけは頭に入れておきましょう。

 「特許って何?」、「特許で何ができるの?」、「なんで特許を取得するの?」という最低限のものだけで結構です。

 さすがにそこまで何も知らずに採用試験に挑む人はいないだろうと思いきや、意外にいます・・。

 なかなか特許法の基礎知識だけを学ぶとかっていうのは難しいかもなのですが、上記の本当に基本的な内容くらいで構いません。

 あまりマニアックに勉強すると、それだけで結構な時間を費やす恐れがあるので、それは避けましょう。

知財実務の知識

 これもそこまでマニアックに知っておく必要はないですし、実務経験は不要ですが、ざっくりと知財実務について、つまり知財部がどんなことをする部署であるのかの知識は頭に入れておきましょう。

 ちなみに僕が学生との採用面接(就職面接)をしているときにびっくりするのが、平気な顔で

「知財実務のことはあまり知らないのですが」

 と言ってしまう学生がいるということです。

 知っている学生だって、そこそこいるわけですから、そんなことを発言した瞬間、よほどのことがないと面接官はその発言をした学生を落としますよね。

 なお、知財実務(知財部の仕事)について、ざくっというと、↓のような感じですかね。

①発明抽出

②明細書執筆

③特許出願

④権利化

⑤期限管理

⑥特許の活用(他社との係争、ビジネス戦略への反映)

 僕のブログは可能な限り初心者向けに知財実務について分かりやすく説明しているつもりなので、良かったらご参考になさってくださいね。

 まだブログを始めて間もないのですが、↑の①~⑥について少しずつは触れているかと思います。

技術知識のバックボーン

 知財実務(知財部の仕事)を上記でざくっと説明しましたが、「⑤期限管理」を除いて、いずれも技術知識が必要となります。

 特に「①発明抽出」、「②明細書執筆」、「④権利化」ですかね。

 たとえば「①発明抽出」ですが、これはある技術の専門家であるバリバリのエンジニアや研究者と議論して発明を抽出するわけですから、当然、その技術の知識が必要になりますよね。

 ただし、知財部の1人の担当者が担当する技術分野が一つだけということはまれで、基本的には複数の技術分野を担当することになると思います。

 その複数の技術分野の全ての技術知識を有している人なんて普通はいないので、そのような広い範囲の技術知識を有している必要はありません。

 理系の話になってしまいますが、大学や大学院で研究されている(あるいは勉強されている)技術知識のバックボーンがあれば十分です。

 重要なのは、その複数の技術分野の知識を習得する素養があるということですね。

 なお、採用試験を受けようとしている企業の業種に近い技術知識を有している人の方が有利に働くのは仕方がありません。

 たとえば東レなどの化学業界の企業の知財部に就職しようとしている↓のような2人の学生がいたとしたら、普通は学生Aの方を取りたくなりますよね。

学生A:「大学で新しい素材の研究をしています!」

学生B:「大学でモータ制御技術の研究をしています!」

 ただ、↑の学生Bの立場であったとしたら、バカ正直に自分の研究内容を説明するのではなく、化学業界にウケそうな研究内容の説明をするようにしましょう。

 もちろん嘘はいけないですが、

「モータに使う磁石の素材の研究をしています」

 とか、少しでも化学業界に近づける(※化学業界でも役立つ研究内容に見せる)ようにするイメージですね。

技術知識(研究内容等)を分かりやすく説明する能力・スキル

 上記した「技術知識のバックボーン」とも関連しますが、この技術知識(研究内容等)を分かりやすく説明する能力・スキルはむちゃくちゃ大事です。

 知財部にとって、特許の明細書を執筆するということは、極端にいえば、発明の内容を分かりやすく明細書で文章として記載するということになるためです。

 最悪なのは、技術知識(研究内容等)の説明が長いうえに分かりにくくなってしまうことですね。

 皆さんの身近な友人やご家族でも結構ですが、その技術知識のバックボーンのない方に説明してみて、一発で「なるほど!」と理解頂けるような説明ができるように練習してみてください。

 なお、採用面接で研究内容を説明することは結構、あるかと思います。

 このとき長々と話すのはまずアウトで、素人向けに分かりやすくコンパクトに説明できるように準備しましょう。

 ちなみに↓の記事の「(5)【発明の概要】」でも説明しましたが、発明は、基本的に「従来技術」、「従来技術の課題」、「課題を解決するための手段(発明の内容)」、「発明の効果」の順番で説明します。

初心者向け特許出願方法(書類②明細書(ロバート秋山さん特許を例に説明))
特許出願の明細書の書き方をロバート秋山さん「梅宮辰夫ものまねTシャツ」の特許出願を例に【発明の名称】や【技術分野】、【発明の概要】など具体的に説明します。

 この順番の説明が最も分かりやすい発明の説明方法であり、技術知識の説明でも研究内容の説明でも同様なので、この順番で説明するのが良いと思います。

 ちょっと言い方を変えると「従来技術」、「従来技術の課題(本研究の目的)」、「課題を解決するための手段(本研究の内容)」、「発明の効果(本研究の良さ)」の順番で説明するのが分かりやすいと思います。

 ご参考になさってください。

英語(主にTOEIC、英会話能力)や中国語などの語学力

 知財部が存在して、しかも新卒採用をするような企業の大半がグローバル企業だと思います。

 なので、英語や中国語などの語学力は必要になりますね。

 特に最近の新入社員は帰国子女であるとか、入社前からTOEIC800点を超えているとか、ざらにいるようです。

 TOEICが600未満であれば、エントリーシートへの必須の記載事項でなければ、もしかしたら記載しない方が良いかもしれません。

 元々の英語力にはよりますが、大学受験レベルの英語力があれば、TOEICは短期間でも集中して勉強することで700点くらいは取ることが可能だと思います。

 TOEICは年に10回も開催されますので、もし結果が就職活動に間に合うようであれば、少なくとも700点以上を目指して勉強するようにしましょう!

 ちゃんとTOEICのスケジュールと結果が出る日程、また就職活動でいつまでに必要なのか、確認するようにしてくださいね。

 知財部に限りませんが、他の職種でもグローバル企業であれば当然、英語力が必要となります。

 また、大半の職種で英語は避けられない時代になってますので、まず勉強しておいた方が良いでしょうね。

 ただTOEICと実際に使える英語力は実はあまり関係がないです(※むしろ全く関係がないかもしれません・・)。

 しかし、採用試験ではこのTOEICの点数で判断するところが大半なので、仕方ないので、就職試験に合格することを考えるとできるだけ高得点を取るようにした方が良いでしょう。

 ちなみに中国語ですが、僕はほとんど使うことができません。

 ただ、中国語ができる日本人は今でも多くないと思うので、中国語ができることは英語以上に重宝されるかなと思いますね。

知財コンサルタント(経営コンサルタント)の能力・スキル

 以前に↓のような記事の解説をしましたが、知財部に求められている能力・スキルは従来のものから変化しています。

知財業界就職・転職希望者の必読書「経営における知的財産戦略事例集」特許庁
ベテラン企業内弁理士が「経営における知的財産戦略事例集」の中で特に面白い知財戦略を実施している企業を説明

 この特許庁の「経営における知的財産戦略」に載っているような企業では、昨今、知財コンサルタント(経営コンサルタント)の能力・スキルを求める企業がとても多いといって良いかと思いますね。

 ただそんなものを持ち合わせている学生はいないですよね。

 それではどうすればよいのでしょうか?

 まず、就職活動をする際に、採用試験を受ける企業がもし「経営における知的財産戦略事例集」に載っていれば、その企業の知財戦略を学ぶようにしましょう。

 もし、採用試験を受ける企業が載っていなくても同業の企業、あるいは近い業種の企業はなんらか載っているはずなので、その企業の知財戦略を学ぶようにしましょうね。

 この企業の知財戦略を実行できる能力、これが知財コンサルタント(経営コンサルタント)の能力となるのかなと思います。

 なぜなら、「経営における知的財産戦略」ですからね。

 そして、どのようにこの企業の知財戦略を実行できる能力(知財コンサルタント(経営コンサルタント))を習得していくか、採用試験でエントリーシートなり面接なりで、アピールするのが大事かなと思います。

 これは要するに皆さんの知財活動によってその企業の経営に貢献できます、と宣言しているようなものですから、そんな学生がもしいたら採用したいですよね。

 そのような意識の高い学生はそんなに多くないと思うので、差別化が図れるはずだと思いますよ!

本記事のまとめ

 以上、知財部へ就職・転職に必要な能力として、特許法、知財実務、技術知識、英語、さらには知財コンサルタントについて説明しました。

 昨今の就職市場は売り手市場(※つまり学生に有利)だと言われてますが、残念ながら知財業界は元々、採用人数が少ないうえに従来よりも少なくなっているような印象です。

 なので、本気で知財業界への就職(または転職)を考えられている方は上記の点に留意して頂けると幸いです。

 なお、この記事に書いてあることの全てを検討して、採用試験に臨む学生はほとんどいないので、相当、有利に働くかなと自信をもって言えます 😆 

 なかなかお勧め業界ではあるので、頑張って下さいね!

 最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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